荒野の中で見つけたライフワーク

体験談

その頃の私は、支配的な夫への不満、満たされぬ思い、娘の引きこもり、摂食障害、暴力に悩んでいた。私は救いを求めていた。ある時、めったに外に出ることのない娘が一人出かけ、帰ってくるなり「今日お母さんにそっくりな人に会った。家もすぐ近くだし、お母さん、会って話してみたら?」私はなぜかわからないが、会ってみようという気になったその方(Nさん)は、クリスチャンで月に一度家庭集会をおこなっていた。私はNさんの自宅で聖書の学びをするようになった。礼拝にも参加するようになって私は2004年に受洗した。

その後娘は、リストカット、市販薬多量服用をし始め、私は自分が家を出るしかないと思い、私は大空を見上げ叫んだ。「~神様私を助けて!~」その瞬間神様は、私の手の中に絵を描く喜びを置いてくださった。そしてアートセラピーのHさんに出逢った。Hさんに色々な画材を教わり、Hさんとおしゃべりしながら絵を描く時間は、本当に楽しくて苦しさから解放された。ある時Hさんに「なぜ絵だったの?」と問われたが、応えることが出来なかった。

2008年夫が会いに来てくれた。私がいなくなってから、娘はリストカット、薬の多様服用をしていないと聞いて私はホッとした。

Hさんの事務所に通い始めて一年が過ぎた頃ころ、「Mさんの一年を本にしてみませんか?」と言われた。私は挑戦してみようと思った。一年かけて一冊の絵本を完成させることが出来た。~それぞれ~と名づけた。完成した本を手にした時、夫のもとに戻ることを決断した。

まるでそのことを察したかのように、娘は県外に出る準備を進めていたのである。その後私は家に戻った。穏やかな日々が続いた。2011年3月11日東日本大震災に遭遇。4か月間の避難所生活の後、4年間仮設住宅での日々。日本各地からボランティアの方々との出会いに恵まれ、多くの感動をいただいた。折り紙の楽しさも教わり、今でも空き箱を利用して作品作りを楽しんでいる。

現在復興住宅でやっと静かな生活を過ごしている。2021年、ある分科会で私の夢を聞かれ私は、「画集を自費出版すること」と答えた。すると一人の方が、「自費出版したら購入します。」と言って下さった。その方の言葉に勇気をいただいて画集作りの事を考え始めた。仮設住宅の集会場で、忘れられない出会いをしたクリエイティブセラピストのTさんに、久しぶりにメールをしたら病の中にいることを知り、画集を届けようと考え、動き始めた。途中やっぱり自分には無理とあきらめかけたこともあったが、画集~逆風をおいかぜに~を完成させ、Tさんに送る事が出来た。Tさんのメールに「私の宝物。」と書かれていて、この文字を目にした時涙が流れた。

娘は現在グループホームにいて、毎日電話で一緒に祈る関係になっている。あるフォーラムで~自分のライフワークを一緒に見つけませんか?~という文字を目にした時、ライフワークっていったい何?と思っていたが、ワークに参加しているうちに気が付いた。~逆風をおいかぜに~これこそ私のライフワークなのだと。

by M.

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